さて、スペイン駐在時代の10年は、クラブ体制としては長きにわたってバルサの成長の骨格を築いたヌニェス会長時~ガスパール会長までを現地で見てきました。 当時、マドリはメンドーサ会長。(悪代官のような顔をした、いかにもドンという風貌のおっさんでした)ヌニェスと二人並ぶと結構面白い絵になる個性的な、超スペイン人っぽいおっさん達でした。 さて、当然ながら当時はまだ日本で誰も『クラシコ』などという言葉は知らず、使われていません。が、現地では双方のクラブ創設以来、毎年の行事として代理戦争たる、クラシコが粛々と、そしてド派手に開催されていたわけです。当時のクラシコはまずは会長同士の悪口合戦から始まります。 いかにもラテン系!というケンカっぽく大人げなく、全くロジカルでない泥仕合。はたから眺めていると本当に面白かったです。 当然ながら今のように幹部同士パルコで一緒に座って試合を観るという事など有り得ません。
今は試合の前にHOME側が相手幹部を食事に招待し和気あいあいと大人で(腹では昔と全く変わりませんが)POLITICALLY CORRECTな対応をしていますが当時は『誰があんな奴と一緒に飯を喰うか!一緒に観戦するか!』的な論調で双方のマスコミもガンガン煽っていました。皆さんご承知の通りメディアも全く中立ではないので、それぞれ『AS』『MARCA』とか『EL MUNDO DEPORTIVO』とかも一緒になっての全面戦争の形相です。 ただ、それも、これも全部ひっくるめて『クラシコ』なのであり、スペインという国の大事な年中行事なのです。『クラシコ』は試合のある90分だけではなく、前節の試合が終わったその瞬間から『クラシコWEEK』としてスペイン中が“楽しむ”のです。
当時の笑い話でこんな事がありました。ある日、私の幼稚園年少組になる娘(次女)が『パパ、白いシャツを着た人は悪者なんだよ~』と何の、疑いもないピュアな表情で突然言うのです。よく聞けば、幼稚園でカタラン人の友達に混ざって鬼ごっことか、子供の遊びをするのですが、何かの瞬間に誰かが言ったんでしょう、『あいつは白シャツの悪者だ~!』と。 少し古いですが我々の世代で言うと、仮面ライダーごっこをしていて『あいつはショッカーだ~!』的な。そのショッカーがカタルーニャでは『白シャツ』なのですね~。勿論、娘はフットボールの事など全く知りません。興味もなかったのですが、このようにカタランDNAは幼少期から色んなところではぐくまれて行き、物心ついて気が付いたら皆、白が嫌いなバルセロニスタに仕上げられているのだと、かの地でつくづくと感じたのです。恐ろしやカタラン魂!